葬儀の形が多様化する中で、近年注目されているのが直葬・火葬式です。この葬儀は費用や時間の負担を抑えられる一方で、不安や疑問を感じる方も少なくありません。この記事では、直葬・火葬式の基本的な考え方や特徴を整理し、一般葬や家族葬との違いをわかりやすく解説していきます。
直葬・火葬式とは?
近年、葬儀の形は多様化しており、その中でも直葬・火葬式を選ぶ人が増えています。ここでは、直葬・火葬式がどのような葬儀なのか、一般葬や家族葬との違いを交えながら、わかりやすく説明します。
直葬・火葬式の定義
直葬・火葬式とは、通夜や告別式を行わず、火葬のみで故人を見送る葬儀のことです。
「直葬」は「直接火葬する」という意味で「火葬式」と呼ばれることもあります。亡くなったあと、故人を安置し、棺に納めてから火葬場へ向かい、火葬炉の前で短いお別れをして火葬・骨上げを行います。宗教的な儀式や僧侶の読経は、省略される場合が多いのが特徴です。
一般葬との違い
一般葬は、通夜と告別式を行い、親族だけでなく友人や近所の方、仕事関係の人など多くの参列者を招く葬儀です。式場の設営や会食、返礼品の準備などが必要になるため、時間も費用もかかります。一方、直葬・火葬式は式を行わないため、準備や対応が少なく、短時間で終わります。
家族葬との違い
家族葬は、参列者を家族や親しい人に限った葬儀ですが、通夜や告別式は行う点が直葬・火葬式との大きな違いです。規模は小さくても、一般葬と同じ流れで進むため、ある程度の時間と費用が必要になります。直葬・火葬式は、家族葬よりもさらに簡素で、火葬を中心とした見送り方といえます。
直葬・火葬式が選ばれる理由
以前は直葬・火葬式を行う方は少数派でしたが、近年は選ぶ人が増えています。ここでは、なぜ今、直葬・火葬式が選ばれているのかを見ていきます。
費用をできるだけ抑えたい人が増えている
直葬が選ばれる理由のひとつが費用です。一般的な葬儀の平均費用は約110〜130万円ですが、直葬・火葬式は約30〜40万円が目安です。差は150万円以上になることもあり、家計への負担は大きく変わります。「お葬式に高いお金をかけなくてもいい」「残された家族に負担をかけたくない」と考える人が増え、必要なことだけを行う直葬が選ばれやすくなっています。
コロナ禍での葬儀の小規模化
新型コロナウイルスの流行も、直葬・火葬式が選ばれるようになった理由のひとつです。感染対策として人が集まることを避ける必要があり、通夜や告別式を行わず、少人数で見送れる直葬を選ぶ人が増えました。コロナをきっかけに広まった「無理をしない葬儀」の考え方が、現在も直葬・火葬式の選択につながっています。
家族の形と人付き合いの変化
直葬が増えている背景には、社会の変化もあります。
高齢化が進み、葬儀を行う側も高齢という家庭が多くなりました。また、核家族化が進み、親族の人数が少ない家庭も増えています。さらに、近所付き合いや仕事関係のつながりが少なくなり「多くの人を呼ぶ必要がない」と感じる人も増えました。その結果、身内だけで静かに送る直葬が選ばれやすくなっています。
価値観の変化と「自分らしい見送り方」
昔は「通夜と告別式を行うのが当たり前」という考えが強くありました。しかし今は「形より気持ちを大切にしたい」「無理のない方法で見送りたい」という考えが広がっています。宗教に強いこだわりをもたない人も増え、形式にとらわれない直葬・火葬式は、今の時代の考え方に合った選択肢として受け入れられています。こうした価値観の変化が、直葬の利用増加につながっています。
直葬・火葬式のメリット
直葬・火葬式には、遺族にとって多くのメリットがあります。ここでは主なメリットを見ていきましょう。
費用を大きく抑えられる
先述したように直葬・火葬式は、葬儀にかかる費用を抑えられる点です。
一般的な葬儀では、式場代や祭壇、飲食、返礼品など多くの費用が必要になります。一方、直葬では通夜や告別式を行わないため、こうした費用がほとんどかかりません。経済的な負担を少なくしたい方にとって、現実的な選択といえます。
準備や当日の負担が少ない
一般的な葬儀では、参列者への案内や受付、あいさつなど、遺族が行うことが多くあります。直葬・火葬式は身内だけで行うことが多いため、事前の準備や当日の対応がとても少なくなります。気持ちが落ち着かない中でも、無理をせずに故人を見送ることができます。
時間的な負担が軽い
直葬・火葬式は、葬儀全体にかかる時間が短いのも特徴です。通夜や告別式がないため、日程は火葬当日が中心となります。高齢の家族がいる場合や遠方から集まるのが難しい場合でも、負担を抑えて行うことができます。
静かにお別れができる
多くの参列者を招かない直葬・火葬式では、身近な人だけで静かに故人と向き合う時間をもてます。形式にとらわれず、気持ちを大切にしたお別れができる点も、大きなメリットの一つです。
宗教にとらわれない選択ができる
直葬・火葬式は、宗教的な儀式を行わないことが多く、無宗教の方や宗教にこだわりがない方にも選ばれています。読経や作法に気を使う必要がなく、家族の考え方に合わせた見送り方ができます。
直葬・火葬式のデメリット
直葬・火葬式は、費用や時間の負担が少ない一方で、事前に知っておきたい注意点もあります。ここでは、直葬・火葬式を選ぶ前に理解しておくべき主なデメリットを紹介します。
親族の理解を得にくい場合がある
直葬・火葬式は、昔ながらの葬儀と比べると簡素なため、親族の中には「きちんと送っていない」と感じる方がいるかもしれません。
とくに年配の方ほど、通夜や告別式を大切に考える傾向があります。事前に相談をせずに直葬を行うと、後から不満やトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
お別れの時間が短くなりやすい
直葬・火葬式では、故人とゆっくり向き合う時間がほとんどありません。火葬場での別れは数分程度で終わることが多く「もっと話したかった」「気持ちの整理がつかなかった」と感じる遺族もいます。気持ちの区切りがつきにくい点は、精神的な負担になることがあります。
弔問対応が増えることがある
参列者を呼ばない直葬・火葬式では、後日になってから自宅へ弔問に来る人が増えることがあります。そのたびに対応が必要となり、かえって負担が大きくなる場合もあります。香典やお供えをどうするかで悩むことも少なくありません。
菩提寺や納骨先で問題が出る可能性
お付き合いのあるお寺がある場合、宗教的な儀式を行わない直葬を選ぶことで、納骨を断られるケースがあります。事前に相談をしていないと、火葬後に納骨先が決まらず困ってしまうこともあるため注意が必要です。
葬祭費が受け取れない場合がある
自治体や健康保険の制度によっては、直葬の場合「葬儀を行っていない」と判断され、葬祭費が支給されないことがあります。費用を抑える目的で直葬を選んでも、結果的に損をしてしまう可能性もあります。
直葬・火葬式の流れと行う際の注意点
直葬・火葬式の流れ自体は一般的な葬儀と大きく変わりませんが、事前に知っておくべき点もあります。ここでは、搬送・安置から火葬までの流れと、行う際の注意点をわかりやすく解説します。
搬送と安置の流れ
ご臨終後は、まず葬儀社に連絡し、故人を安置場所まで搬送してもらいます。病院で亡くなった場合は、医師から死亡診断書が発行されます。自宅で亡くなった場合は、警察による確認が行われることもあります。法律により、亡くなってから24時間以内は火葬ができないため、直葬であっても安置は必要です。自宅で安置できる場合もありますが、難しい場合は葬儀社の安置施設を利用します。安置中に火葬場の予約や必要な手続きを進めます。
納棺から出棺まで
火葬当日までに、故人を棺に納める納棺を行います。故人をきれいに整え、花や思い出の品を棺に入れてお別れをします。
ただし、燃えない物や危険な物は入れられないため、事前に確認が必要です。納棺後、決められた時間に火葬場へ出棺します。直葬では儀式が短いため、落ち着いてお別れできるよう心の準備をしておくと安心です。
火葬とお別れ
火葬場では、炉の前で短いお別れの時間が設けられます。僧侶を呼ばず、黙とうのみで見送ることも多く、読経を行う場合でも時間は短めです。火葬にはおよそ1時間ほどかかり、その後に骨上げを行います。
事前に知っておきたい注意点
直葬・火葬式は、親族の理解を得にくい場合があります。後からトラブルにならないよう、事前に家族や親族へ説明しておくことが大切です。また、菩提寺がある場合は、納骨について事前に相談しておきましょう。
さらに、自治体によっては直葬では葬祭費が支給されない場合もあります。費用面での不安を減らすためにも、事前に制度を確認しておくと安心です。
まとめ
直葬・火葬式は、通夜や告別式を行わず、火葬のみで故人を見送る、今の時代に合った葬儀の形です。費用や時間、遺族の負担を抑えられる一方で、親族の理解や納骨先の確認など、事前に考えておくべき点もあります。そのため「簡単だから」という理由だけで選ぶのではなく、家族でよく話し合い、納得したうえで決めることが大切です。岐阜市で葬儀を検討する際も、直葬・火葬式が自分たちに合った見送り方かどうかを確認し、流れや注意点を理解したうえで準備を進めることで、後悔の少ないお別れにつながります。形式にとらわれすぎず、気持ちを大切にした葬儀を選びましょう。